霧丘晶&横見浩彦、小学館
☆☆☆
【鉄道に人生を捨てた男】、横見さんが若い女性漫画家を電車で日本全国連れまわして、その様子をマンガにした作品です。私は初代の菊池直恵さんからのファンで、本屋に平積みされているのを発見して即買いしました。
まだ読んだことがない人のためにザックリと内容をお話します。
本の表紙で横見さんを【鉄道トラベルライター】と紹介していますが、横見さんは鉄道にしか興味がない人なので、本書を旅行情報誌と思って買うとガッカリします。
では、鉄道オタクの方が鉄道の情報を得るために買ったらどうかというと、マンガにするのは鉄道に興味がない霧丘さんなので、鉄道情報誌として読むのには物足りない内容です。
それなら、どんな人が買えば満足するのかというと、空気が読めない日本一の鉄道オタクと普通の若い女性が電車で旅行するとどうなるかに興味がある人にお勧めのマンガです。
趣味を仕事にするって、並大抵のことでは世の中に認められないと思うのです。そんな偉業を成し遂げた横見さんのハイテンションで奇人変人な言動に翻弄される霧丘さんの姿を楽しむドタバタコメディなのです。
このブログを関係者が読むとは思えないのですが、少し残念に思ったことを書いておきます。
菊池さん、ほあしさん、と続いてきたシリーズですが、前作を意識した結果なのか、霧丘さんのキャラがぼんやりしている気がしました。初代の菊池さん、二代目のほあしさんのお人柄はマンガを通じて伝わってきたのですが、霧丘さんがどんな人なのか分からないのです。俗っぽい言い方をするなら、「キャラが立っていない」とでも言うのでしょうか。前作なんて気にせず、霧丘さんなりの《鉄子の旅》を作って下さい。