うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

れんげ荘

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群ようこ角川春樹事務所
☆☆☆
《お仕事小説》に分類される小説は星の数ほどあると思いますが、この本はなんと《無職小説》!です。

 

こんな本は読んだことがありませんし、主人公が考えていることがイチイチ納得できる内容なので、とても楽しく読むことが出来ました。

 

主人公のササガワキョウコ(45)は23年間働いた大手広告代理店で働くことが心底嫌になって辞めてしまいます。しかし、贅沢が好きで、世間体ばかり気にしている母親にバレると面倒なので、そのことを秘密にして実家を離れ、一人暮らしを始めます。

 

一人暮らしを始めるにあたって、引っ越し先に求めた条件は、

 

①一人暮らしの無職中年女が暮らしていても近所の人たちが無関心でいてくれる街にあること。
②無収入なので、できる限り家賃が安いこと。

 

の2点でした。そうやって探し出したアパートがれんげ荘です。

 

れんげ荘は都内にあるにもかかわらず家賃はなんと3万円!その代り、風呂はなく、共同で使うシャワールームがあるだけ。トイレも共同で今どき和式!定期的に管理人さんが清掃してくれるので清潔なのですが、築40年以上の木造建築のため隙間風が吹き込んで、室温は外気温と変わりません。そんなれんげ荘でキョウコが1か月10万円で生活し、感じたことが書かれています。

 

人目を気にせず生活するだけならお金や物はそんなに必要ないんだなぁ、と気が付いたり、働かないことで感じる後ろめたさや、有り余る時間を持て余してしまう姿に、キョウコと同じ無職の私はなんども頷いてしまいました。

 

健康な人が、40代で世捨て人になるのは現実的に難しいと思います。しかし、キョウコのように何もかも一度捨て去ってみたいと考えている人はたくさんいると思うのです。そんな人たちに是非とも勧めたい小説です。