山本甲士、双葉社
☆☆☆
同居していた家族が亡くなったため、一人になった祖母(ひかり)を光一たちの家族が引き取ることになりました。
光一は大学受験に失敗して浪人中で、予備校には通わずに自宅で勉強しているために家族の中で一番長くひかりと過ごすことになります。
ひかりは85歳という高齢もあって、迎える側の光一たちはひかりの健康状態について色々と心配するのですが、一緒に暮らし始めると予想外のことが次々と起こって、光一たちを驚かせることになるのです。
私たちが便利な生活に慣れて忘れてしまったことを今でも手を抜かずにきちんと続けているひかりの姿に感心するのと、今では廃れてしまった義理人情を忘れずに生きている人たちの姿に心が温かくなるお話です。
私は、仮想空間での繋がりが増えた分、実際の人と人との交流が減ったと思っています。しかし、どんなにネットが便利になっても、実際の生活の中で助けたり、助けられたりして築いた信用・信頼といったものにはかないません。
ひかりのように真面目に生きて、信用を積み重ね、周囲の人たちから尊敬されるお婆さんになれたら理想的だと思いました。