大崎梢、光文社
☆☆☆
小学校4年生から中学生くらいまでを対象に書かれた児童書です。
本を読むことが大好きな中学二年生の野々香が、本を触媒にして友情を深めたり、それまで無関係だった人と人との縁を取り持ったりする物語です。たくさんのキャクターが登場するので話がにぎやかですし、ラストは丸く収まって笑顔になります。
本を読む目的は、
①知識を得るため。
②疑似体験をするため。
の2点だと思います。
知識はネットでも得られるけれど、疑似体験となるとどうでしょう?若い人たちが本を読まないと言われるようになって長くなりますが、本との出会いで人生が変わってしまう人もいるので、学生のうちは月に1冊くらいは読んだ方がいいように思います。
とくに、青春時代に読んだ本は記憶に残るものです。私は高校生のときに、司馬遼太郎さんの【竜馬がゆく】と【坂の上の雲】を続けて読み、安全保障に関わる仕事をするため国家公務員になったなんて過去があります。※
私は現在、48歳です。人生に一番大きな影響を与えるのは人との出会いと思うようになりましたが、本にもわずかですがその力があります。学生が、まったく本を読まないというのは損をしているように思います。
※こんな風に書くとカッコよくなってしまって申し訳ないので実情を話すと、一番になりたかったのは生化学分野の研究者でした。しかし、バブル期の売り手市場でも研究職のポストは難関で、三流私立大学出身では無理でした。そこで、まったく想像もつかない営業や総務の仕事よりも多少の興味がある安全保障に関する仕事を選んだということです。