吉田玲雄、幻冬舎文庫
☆☆☆
サンフランシスコの大学に通っていた玲雄(24)が旅行で立ち寄った、ハワイ島にある日系人たちが住む小さな村(ホノカア)で、映写技師のアルバイトを幸運にも得て、大学を休学し、短期間、ホノカアで暮らす姿を描いた物語です。
ホノカアにはのんびりとした時間が流れ、アルバイト先の映画館は上映時間になっても観客が10人集まらないと上映中止という、何とものんきな営業態度です。
玲雄を取り巻く人たちは、優しくて良い人ばかりで、見返りなしで食事を提供してくれる人や、仕事で失敗しても叱らずに慰めてくれるような同僚しかいません。
ハワイ島の自然は素晴らしく、玲雄は天気の良い日は仕事前にビーチで泳ぐのが日課になっています。
極論すれば、退屈な田舎の日常を描いているだけなのですが、大都会でストレスに晒されながら分刻みで長時間働く人たちが読めば、一服の清涼剤になると思います。
将来、南の島でのんびり暮らしてみたいなんて夢をお持ちの方にお勧めの小説です。