山田健、角川春樹事務所
☆☆☆
物語の冒頭で、集落の山が地滑りをおこし、何件もの家が被害にあう場面から始まります。
被害にあった住民が集まって、地滑りをおこした山の所有者を訴えてやるとかナンとか始まったので、私は
『法廷闘争を扱ったお話かな?』
と思ったのですが、意外な方向へ話は進み、荒廃した里山を再整備する運動へと発展していきます。
私も、日本中の中山間地で里山が荒廃しているのは知ってましたが、この本を読んで、何が問題なのか具体的に勉強することが出来ました。
問題解決のためには、マンパワーとお金が不可欠なのですが、それをどうやって解決していくのかが、この本の主題になっています。
ここで、出て来るアイデアがありふれたものなら物語がつまらなくなってしまうところですが、
『へーっ、そんな方法があるんだ!』
というアイデアがいくつも登場し、最後には逆転満塁ホームランみたいなアイデアも飛び出すので、私は楽しく読むことができました。
過疎と荒廃する里山を抱える地方自治体の方々は、参考になることがあるかもしれないので、試しに読んでみることをお勧めします。