うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

カーテンコール!

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加納朋子、新潮社
☆☆☆
定員割れから経営不振に陥り、閉校することが決まった女子大が舞台です。

 

本来なら、3月に最後の卒業生を送り出して、取り壊されるはずだった校舎に女子大生たちが集まります。

 

彼女たちは、学校側がいくつもの救済処置を用意したにもかかわらず、その全てを落第し、卒業不可となった学習困難者たちなのです。

 

かと言って、内容はドタバタコメディでは決してなく、性同一性障害睡眠障害、拒食症に過食症、などなど、様々な事情から生きづらさを抱え込んだ人たちで、彼女たちを切り捨てるのが忍びない校長先生が、急遽、半年間の補講を受講させることで、単位を取得させ、卒業させることに決めたのです。

 

6つの章からなっており、1章に一人、もしくは二人の主人公がいます。どの女の子も救済対象者として見た場合、なかなかに難しいケースなのですが、この校長先生が素晴らしい教育者で、それぞれの女の子たちに生きていく指針を示すのです。もちろん、半年間で問題がスッキリ解決なんてことは一つもないのだけれど、卒業式の日に、自分の進むべき方向に気づいた女の子たちの姿には感動するはずです。

 

私的には、校長先生が生徒たちに話して聞かせた、【逃げるが勝ち】のお話が心に残りました。死にたくなるほどのストレスを受けるようになったとき、どうすべきか、というお話なのですが、今、つらいお気持ちを抱えている方は読んでみる価値があると思います。

 

そう言えば、東欧にも
逃げるは恥だが役に立つ
というのが、あるそうですしね。