住野よる、双葉社
☆☆☆
はっきりとは書かれてないのだけど、小学三年生くらいに思える小柳奈ノ花が主人公です。
奈ノ花の両親はフルタイムで働いているので、学校から帰宅すると家には誰もいません。そこで、奈ノ花は勉強道具を家において出かけるのです。
目指す先は、
①安普請のアパートに一人で住む若い女性
②廃屋の屋上で一人たそがれている女子高生
③丘の上の大きな木造住宅に一人で住むおばあさん
の3つです。
しかし、日没までには家に帰らねばならないので、このうちの2つをその日の気分で訪ねています。
奈ノ花は子供らしく、その日あったことを訪問先で話して聞かせるのですが、三人の反応が三者三様で面白いです。私なら奈ノ花になんてこたえるだろう、と考えながら読みました。
奈ノ花は、かしこく、正義感あふれる女の子なのですが、そのため学校で腹が立ったり、悲しくなることがよくあるのです。そのため、奈ノ花の質問は、
「よりよく生きるためには?」
とか
「幸せってなに?」
という素朴だけれど、大人でもこたえるのが難しい質問です。でも、三人の対応が素晴らしいんですよねぇ。
会話中心に書かれていて、大人が小学三年生に分かるように話しているので、児童書としても良いのだけど、物語の中にある伏線が分かるようになるのは高校生ぐらいからかなぁ、と思いました。
奈ノ花と一緒に、「幸せってなに?」って考えてみませんか?