垣谷美雨、双葉社
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不満がたまって今にも爆発しそうな47歳の中年女3人が、不思議なレストランで店員から、
「17歳に戻って人生をやり直してみませんか?」
と持ち掛けられます。
冗談だろうと本気にせず、承諾するとホントに3人ともに30年前の世界に戻ってしまうのです。
元の世界の3人は、
①専業主婦
②独身キャリアウーマン
③独身ワーキングプアー
です。
3人は元の世界で後悔していたことを回避しながらタイムスリップした世界で生活するのですが、はたして幸福になれるのでしょうか、というお話です。
私は20年サラリーマンをやったので、
【もぉ、人に使われるのは嫌だな】
と強く思っています。もし、もう一度人生をやり直せるなら手に職つけて一国一城の主になってみたいです。しかし、職人には職人の悩みがあるんでしょうね。
作中でタイムスリップした3人も、やり直した人生で不満を持つようになるのですが、その中でキャリアウーマンだった女性が職業を選ぶことの難しさを考えるシーンが心に残ったので書き写しておきます。
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自分に何が向いているかを見極めるのは本当に難しいと思う。人生を何度やり直したところでわからないのではないか。仮に、自分に向いている仕事がわかったとしても、その職業に就けるとは限らない。どこもかしこも狭き門であるばかりでなく、生まれつきの能力に左右されることも多いのだ。
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まったくその通りですよね。私が本当になりたかった職業は、天文学者とか、考古学者みたいな、夢があって、短期間で成果を問われることのない職業だったのですが、そういった職業は偏差値70以上の人にしか就けませんものね。