南綾子、双葉社
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30代独身女性にむけて書かれたおとぎ話です。まず、本の冒頭に主だった登場人物の紹介が書いてあるので、それをそのまま書き写しておきます。
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今野百恵(31)印刷会社の事務職。ジャッキーチェンが大好きだがみんなには秘密。妄想好きな処女。
田原雪乃(34)元劇団女優、大手企業のコールセンター勤務。ハイスペック男性を求めては、すぐ肉体関係を結び捨てられている。
山浦羊子(36)派遣OL。何事にも優柔不断で、押しが強い男でないと自分への愛を信じることができない。合コンではモテる。
市川眞子(39)メガバンク勤務で多忙。全身ブランドで固め、男に対する要求も高い。割り勘制度反対派。
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この四人のうち、眞子は多忙なので要所要所でチラッと登場するだけです。
眞子を除く三人が、合コンや結婚相談所を利用して次々に男と出会って、どう反応するかを描いています。
この三人ですが、とにかくモテます。次から次へと男から好意を寄せられるのですが、デートの後で、
【チビ】【ハゲ】【デブ】【ケチ】【息が臭い】【服装がダサイ】【30過ぎたら男はジジイ】などなど
と毒舌で男を評論し、メールを着信拒否にして次の出逢いに向かって行きます。そして、ちょっと容姿が優れた男と出会うと、初めて会ったその日にSEXしちゃうのです。
しかし、容姿が優れていて女の扱いに慣れた男は必ず複数のセフレを持っていて、のちに、自分は特別な女じゃなく、たくさんいるセフレの一人だったんだ、と気づいて、
「なんだよ、ヤリ逃げかよ!」
と怒ることを繰り返しています。
婚活を扱った小説なのですが、四人に焦りはなく、
「私たちは若くて綺麗だし、1ミリも妥協しないで完璧な男と結婚する!」
と意気揚々です。
物語のラストで眞子が結婚するのですが、同時に百恵が世界的ホテルチェーンに転職して、
「私たちは、まだまだ新しい出会いがあるし、新しいことにも挑戦できる!」
と終始前向きな物語でした。
30歳以上の独身男性には、読むと気分が悪くなると思うのでお勧めできません。