うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

とっても不幸な幸運

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畠中恵双葉社
☆☆☆
新宿の繁華街のビルの地下で地味に営業している居酒屋【酒場】を舞台にしておこる不思議な事件が5つと、【酒場】のマスターがまだウエイターだった頃の昔話が1つ納められています。

 

【酒場】のマスターはとっても喧嘩が強く、面倒見がよくて、料理が上手です。そんなマスターの人柄を頼ってたくさんの常連客が【酒場】にやって来ます。

 

1話目でマスターの子供で、中学生の女の子が

 

《とっても不幸な幸運》

 

と名付けられた缶詰にまつわる不思議な体験をマスターに相談するのですが、その事件の顛末を知った常連客たちが次々と《とっても不幸な幸運》を【酒場】に持ち込み事件を引き起こしていきます。

 

《とっても不幸な幸運》は缶詰を開けた人の心の底深くにしまってある悩みや後悔を呼び醒ます力があります。そのため、最初は周囲の人たちを困惑させるのですが、マスターと常連客たちが力を合わせて解決し、一件落着となります。

 

常連客たちも只者ではなく、暴力団の幹部、警察で高い地位の人、弁護士、医師、手品師などなど多彩な人たちが揃っており、これだけ役者がそろえば社会で起こるたいていのもめ事は解決できそうです。

 

事件のジャンルはイジメ問題、恋愛問題、恐喝事件、不幸な生い立ちに関するトラウマ、といったように多様で、これだけの問題を解決できる相談所なんてめったにありません。もし、【酒場】が実在したら、私も通ってみたいです。ただし、マスターの許可がないと入店を拒否されるので、受け入れてもらえるか自信がありません。