上野歩、講談社
☆☆☆
主人公の神野キリが理容師になるための学校を卒業し、自分のお店を持つまでを描いています。本のなかでは約4年の歳月が流れます。
キリが小さな子供の頃にお母さんがよそに男をつくって出て行きます。そのお母さんは理容師で、男に出資させて自分のお店を開いたのです。キリは、
「お母さんよりも腕の良い理容師になって、自分のお店を繁盛させてやる」
と子供心に誓って、ついに理容師になります。
しかし、理容師という職業は資格を取ったらそれで一人前という世界ではありません。下手なカットをするキリに熟練の理容師に払うのと同額のお金を払ってくれる優しいお客さんに育てられながら成長していくのです。
キリは性格が明るく、笑顔で接客し、押しが強いので、客が離れないという才能があります。また、そんなキリだからこそ、キリに好意を寄せる男性も2人いて、やきもきさせられます。
順調なことばかりでなく、不幸にも見舞われるのですが、立ち直って前進するキリの姿には勇気をもらえます。
読み終わってもった印象は、
「朝の連続テレビ小説みたいだ」
です。
理容師の仕事に関するウンチクがたくさん出てくるので、雑学が好物な人にもオススメです。