うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

本屋さんのダイアナ

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柚木麻子、新潮文庫

 

☆☆☆

 

二人の女の子が出会ってはじまる物語です。

 

と言うわけで、二人の主人公が登場します。まず一人、ダイアナですが、漢字で【大穴】と書きます。子供の頃、「私の名前はどんな意味?」と親に聞くかと思うのですが、ダイアナの母親は、

 

「賭けたお金が何十倍にもなるような幸運が訪れるようにつけた」

 

と答えます。ギャンブルに由来する名前なのか、とダイアナはがっかりです。ダイアナのお母さんは、こんな答えをするのが、ストンとくる母親です。母子家庭で、お母さんはキャバクラ嬢で、貧乏です。お母さんに無理矢理に髪を金髪に染められ、小学校では変な名前と合わさって悪目立ちしてしまい、イジワルされることも度々です。

 

もう一人は、彩子です。両親は高学歴でお金持ち。お父さんの稼ぎが良いので、お母さんは専業主婦。両親は仲良しで、彩子を大事に育てています。小学校から彩子を有名私立小学校に入れることも考えましたが、世間には様々な階級で暮らす人がいることを学ばせるために近所の公立小学校へ通わせました。

 

まったく異なる社会階級の二人ですから、普通は一生出会うことなんてないのですが、運命のいたずらによって公立小学校で三年生のときに出会うのです。

 

奇跡的に小学校で友達になる二人ですが、二人の進路は【お金】を理由に引き裂かれて行きます。貧乏なダイアナは我慢しなければならないことがたくさんあるのですが、彩子は望むものすべてを与えられるのですから当然と言えば、当然です。

 

しかし、ダイアナが不幸で、彩子が幸せとならないのがこの本の面白い所です。私は習い事など一切させてもらえない家庭で育ったので彩子の気持ちに心から共感することは出来なかったのですが、不平不満ばかり言っているお金持ちを何度も目にしたことがあり、

 

「お金で心が満たされるわけではない」

 

とも感じています。

 

この本では、彩子が大学を卒業するころまでを扱っているので、物語の終わりで二人は21歳でしょうか。正反対の環境で育つ二人が、そんな歳まで友情を持ち続けたのですが、興味が湧きませんか?私はとても面白いと思いました。お勧めの一冊です!