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具体的な地名は書かれていませんが、小樽と思われる土地にあるオルゴール店を舞台にしておこる心温まる出来事が7つの短編となっておさめられています。
背が高く、痩せていて、物静かな印象を与える若い男性が一人でお店をやっています。
店主には向き合った人の記憶の奥深くに流れている音楽を聴く超能力があり、お店を訪れたお客さんにピッタリの選曲をしてオルゴールを作成し、お客さんたちを驚かすのです。
7つの短編に登場するお客さんは、みなさん、人生の岐路に立ち、これからの行き先に悩んでいるのですが、このオルゴール店にやって来て、店主が製作したオルゴールから流れるメロディーを聴くことによって行き先を決めます。
オルゴールから流れるメロディーを聴いた時のお客さんの感動するポイントが違うのですが、そのことが、
「音楽にはこんな力があるのか!」
と読者に新しい気づきを与えます。
文体も落ち着いていてとても読みやすく、1話、40分くらいで読めるので、長編が苦手な人にもおススメです。