鈴木るりか、小学館
☆☆☆
《さよなら、田中さん》の続編です。《さよなら、田中さん》を読んで面白いと感じた人は絶対に読みましょう。きっと、期待を裏切らないはずです。
3部構成になっていて、
第1部:お母さんは子供の頃に児童虐待を受けていたというお話。
第2部:山梨県の中学へ進学した男の子のお話。
第3部:田中花実さんが小学生だったときの担任の先生のお話。
となっています。
どのお話も世間の大多数の人のように生きられない人を主人公にしているのが興味深いです。
第1部では子供を愛することが出来ない親もいる、という現実を書いています。
第2部では現実社会で充実感を得られなかった少年がカトリックの学校へ進学したことがきっかけとなり信仰の道に目覚めるお話です。
第3部は性同一性障害のお話です。
どのお話も陳腐なハッピーエンドになってないのが良いです。世間という物は厳しいもので、常識から逸脱した人を排斥するようになっています。排斥された人の多くは孤独に生きるよりないのが現実です。そのことを象徴しているのがタイトルにある《ひとりぼっち》という言葉ではないでしょうか。
自由と孤独はふたつでセットなのです。