うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

傑作はまだ

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瀬尾まいこソニー・ミュージックエンタテイメント

☆☆☆

主人公は加賀野正吉、年齢は50歳前後。

 

大学を卒業する年に書いた小説が出版社の新人賞を獲得し、そのまま小説家になります。大学を卒業して二年目に行きずりの女と勢いでSEXしてしまい、その女は妊娠してしまいます。

 

加賀野は結婚するつもりはなく、子供もいらないと女に意思表示した結果、結婚はしない、子供は女が育てる、加賀野は毎月女に養育費として10万円送金する、という取り決めをして決着しました。

 

加賀野は毎月10万円送金し、女は子供の写真と「お金を受け取りました」という簡素なメモを郵送してくる生活を子供が20歳になるまで続けました。

 

そして、加賀野の血を分けた青年が25歳になったある日、突然、不意打ちで、加賀野が独りで暮らす家を訪ねて来て、職場が近所だから短い間で良いから同居させてほしいと頼んでくるのです。

 

大学を卒業してから、小説家なんていう社会と極端に接点のない生活を続けてきた加賀野は社会常識とコミュニケーション能力がとても低く、二人の会話はかみ合いません。

 

ここまでが、物語の初期設定です。自分が過去に妊娠させた女のことなどすっかり忘れ、生まれてきた子供も写真で顔は知っているものの、会いたいとは思わなかった加賀野が25歳になった青年とどんな関係を築いていくのかを楽しむ小説です。

 

私は最後まで読んでいるので結末を知っていますが、みなさんならどうでしょうか?私が言えることは、遺伝子を受け継いでいるってだけで、強いつながりが生まれるなんてことは無いということです。そういう意味では、この本のラストは非現実的かな、と思いました。