今井恭子、小学館
☆☆☆
難しい漢字が使われておらず、挿絵も入れてあって、小学生高学年を対象に書かれた児童書だと思うのですが、大人が読んでも感動できる本です。
母子家庭で暮らす小学6年生の男の子が主人公です。
父親は、男の子が小学三年生のときに新しく好きになった女の人と出て行ってしまいました。それからというもの、男の子の家庭は貧乏のどん底。お金がないせいで、修学旅行にも行けません。
お金がない小学生の暮らしがリアルに描かれています。しかし、男の子はしっかりとした良い子で、母親の力になりたいと思っていて、できる範囲で頑張っているのがとても健気で泣けてきます。
題名にある《ギフト》ですが、《才能》という意味があります。プロのピアニストに接する機会があり、男の子に絶対音感があることがわかるのですが、
「ギフトだなぁ、神様からの贈り物だよ」
と、驚きとともにピアニストがつぶやくのです。そんな特別な能力があってもお金がないという理由で、その才能をいかす道は閉ざされています。その時、男の子がとった決断、行動に私は感動しました。
本を最後まで読んでも男の子は貧乏なままなのですが、希望を感じさせる終わり方をしていて、前向きな気持ちになれるのも良かったです。
こういう良い本は、たくさんの人に読んでもらいたいです。大人も子供も、ぜひ読んでください!