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48歳になって、人生に迷う男女5人の物語です。
一人一人の物語は独立していて、お互いの関係はまったくありません。
主人公たちに共通しているのは、自分に何が出来て、何が出来ないかをきちんと把握していて、自分はあらゆる面で平凡な人間で、これから先、夢みたいなことは一切起こらないと分かっていることです。
ロシアのことわざに、
【苦しいことは6日ごとにやってくる。喜びは100日おいてやってくる。】
というのがあるのですが、主人公たちの人生がまさにこれです。
苦しいこと、理不尽なことをどうやって受け流して生き延びていくかが、この本のテーマです。
私も現在52歳ですが、この歳になると夢を原動力に今日を生きるなんてことは出来ないわけです。そんなときどうするか、、、50歳前後の人たちに向けて書かれた物語です。
記憶に残った箇所を転載しておきます。共感できる方は、ぜひ読んでみてください。
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自分が48歳になってみると、やはり立ち止まらざるを得ない年齢なのだと、やっと理解できる。気がつくと俺は山の頂上に立っていた。もうこの先には登る道がない。振り返ると、確かに歩いた道がある。俺はこの山を目指してきて、本当に良かったのだろうか。あとは下りの道しか残っていないのだろうかと、途方に暮れている。
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