喜多喜久、宝島社
☆☆☆
天才化学者の素質を持つ大学院生の藤村桂一郎ですが、女性に一目ぼれしたことで、それまであった《ひらめき》を失ってスランプに陥ります。
そこにナゼかグッドタイミングで死神の美女が現れて、
「あなたのひらめきを回復するために、あなたの恋を応援してあげる」
と申し出てくれます。
藤村は彼女いない歴=年齢、というオクテの理系男子。若い女性と会話する能力はゼロです。かたや、死神の美女は独善的で強引な性格で、ときには超能力を使ってでも藤村の尻を叩き、二人をくっつけようとします。
さらに藤村の恋を蔭から応援する謎の人物まで登場してきて、話を盛り上げます。
理科系の大学、しかも、有機化学の合成をやっている人にしか分からない描写や話題が多くて、読者が付いてこられるか心配な面もありますが、それ以外はエンタメ小説として合格点の仕上がりになっていると思います。