山本幸久、新潮社
☆☆☆
短編集です。8つの物語が納められています。一つ読むのに40分くらいかかります。
主人公は全員、40前後の女性です。結婚していたり、独身だったり、子供がいたり、いなかったり、と様々です。なので、8人の主人公たちに共通点を見出すことはできません。
しかし、物語のラストが単純なハッピーエンドではなくて、ちょっとほろ苦い感じがする点は共通しています。
ただし、絶望的で、暗い気持ちになるお話は一つもないので、安心してください。
40歳と言えば、自分に何が出来て、何ができないか、ハッキリと理解する年齢です。子供の頃に夢見たようなことは何も起こらないと知った後、どうやって生きていくか、8人の主人公たちが模索しています。
そういう意味で、この本の推奨年齢は40歳以上です。20代で読んでも理解はできても、腑に落ちるみたいな経験はないでしょう。年を取って分かることもあるってことです。