椰月美智子、幻冬舎
☆☆☆
高校二年生のまひるが、秋から春までの間に体験したことを書いた本です。
共働きの両親がいて、小学五年生の弟がいて、学校へ行けば仲良しの友だちが3人いて、帰宅部で、個人経営の和菓子屋さんでアルバイトをしていて、とっても優しい恋人がいます。
まひるの日常は平和で、平凡です。ドラマチックな17歳の物語を期待した人は読み始めるのを止めたほうがよさそうです。
「私の青春って、なんだか退屈。これでイイのかな?」
と思っている女子高生が自分と同じように時間を過ごしているまひるを知って安心したり、30年以上昔に高校生だった私のような人間が、
「私もこんな感じだったな」
と懐かしんだりする本だと思います。
最終盤に小説らしい事件が起きます。まひると恋人との関係が、【恋】から【愛】に変わる瞬間に、読者は立ち会うことになります。