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ド田舎の山の中にある集落に単身赴任していた柳沢(50歳前後)は8年ぶりに東京へ帰ることになりました。
いくら単身赴任だからって、8年間実家へ帰らせてくれない会社もひどいですが、このド田舎、東京まで帰るのに24時間以上かかる所にあるというのです。
柳沢は電車で帰るので、離島ではないはずですが、、、そんな場所は日本にありませんよね?でも、設定なので仕方ありません。
さらに、この普通のおじさんに高校一年生の女の子が恋をしていて、東京までの道中についてきてしまうのです!う~ん、そんな女子高生が日本にいますかね?でも、設定なので仕方ありません。
この2つの設定だけでも面倒なのに、柳沢のことを追跡する二人の訳アリ中年女性が出現します。柳沢は、はじめは身軽に一人で帰省するはずだったのに、どんどん重たい旅になってしまうのです。
そんなわけで、柳沢は旅の道中で何度もトラブルに巻き込まれます。しかし、根っからの善人である柳沢は、くっついてくる面倒な人たちを献身的にお世話します。
そうこうするうちに、こんがらがっていた事情が勝手にほどけて、柳沢が知らないうちに解決しているという、なんとも不思議な小説です。
「そんな都合のイイことってある?!」
と、私は何度も声に出しましたが、人生は偶然に支配されているので、運が良い時はこんなものかもしれません。
読んでもらったら分かるんですが、これだけ問題を抱えていたら現実世界では絶対にハッピーエンドになりません。