うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ぼくはきっとやさしい

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町屋良平、河出書房新社

☆☆☆

岳文(たけふみ)という男の子が

 

大学受験→大学生→社会人→会社倒産で無職

 

という期間を生きる姿を描いた物語です。

 

読んでいて、岳文が私のように思えてきて応援しながら読んでいたんだけど、ラストまで私と同じ無職ならなくてもって感じです。(笑)

 

岳文は何をやっても可もなく不可もないという男の子です。とにかく特徴がないんです。【ザ・ふつう】って感じ。だから、いつも周りに流されて生きています。こういう人っていますよね。

 

私は、10代後半から20代前半って所属しているカーストが露骨に分かってしまう残酷な期間のように感じています。一つまみの人だけが人気者で、異性からモテモテで、周りからチヤホヤされて青春を謳歌してるでしょ?岳文はその群衆を輪の外から眺めているんです。

 

そして、これも私と同じなんだけど岳文は冴えない毎日を送りながら、決して世の中を恨んだり、誰かに八つ当たりしないで、日常をたんたんと生きています。

 

物語が終わるとき、岳文の属性は【無職】なんだけど、これは若い人が意識しない【運】の要素を描いていて良いと思いました。教育者は

 

「努力は報われる」

 

と繰り返して学生たちを洗脳するけど、人生それだけじゃありません。私は現在53歳で、自分の人生、同級生の人生と見てきて、

 

「人生って運に左右されるよなぁ」

 

としみじみ思うのです。だから、上手くいったときは、

 

「たまたまです」

 

と謙遜し、失敗したときは

 

「運がなかった」

 

と諦めるくらいでちょうど良いのです。人生は、努力半分、運半分です。

 

とりとめなくなりましたが、なにをやってもパッとしない青春を送っている君!ココに君と同じ男の子がいるから読んでみて!