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れんげ荘シリーズの6作目です。
主人公のキョウコを簡単に説明しておきます。40代前半まで大手広告代理店で一生懸命働き、あるていど貯金ができたので、大嫌いな仕事と母親から逃げるため、都会のボロアパートのれんげ荘に引っ越して、隠遁生活を始めた独身女性の物語です。
今回の作品は、これまでと少し違った印象を持ちました。これまでは、人間が物語の中心だったのが、今回は猫と犬が物語の中心になっています。
主人公の周りの人たちのもとへ猫や犬が神様からの贈り物のようにやって来てしまい、一緒に暮らし始めるのです。人間は動物たちのかわいらしさに完全にやられてしまい、生活が変わってしまいます。動物が第一の暮らしになってしまうのです。
でも、その変化はすべて良い方向へ変わっていくので、読者は、
「私も動物が飼いたいなぁ」
なんて思うようになるんじゃないでしょうか。
ですが、これまで登場していた人物の消息も書かれているので安心です。クマガイさん、コナツさん、チユキさん、全員元気にこれまでの生活を続けています。なかでも一番活躍するのはチユキさんです。なぜなら、チユキさんのところには犬がやって来るからです。じゃ、猫はどこにやって来るの?
気になる方は、読んで確かめましょう。動物と人間の心温まる物語となっています。