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まず、面白い!今年に入ってから読んだ本で一番面白い本でした。
時は1989年、早稲田大学正門から徒歩5分の所にオンボロアパートが建ってました。そこに一部屋三畳、家賃1万2千円という物件があったことがまず奇跡です。
その当時は、バブル経済絶頂期で東京23区の土地の値段とアメリカ全土の土地の値段が同じとか言われていた時代です。不動産はいかに豪華に見せるかを競い合っていた時代であり、アパートの賃貸料もうなぎ上りだったのにこんな物件があったなんて!
そんなアパートに89年から2000年まで住んでいた早稲田大学の学生の自伝です。著者は7年かけて大学を卒業するので、途中からはフリーのライターになります。
いかに安いとはいえ、風呂なし、シャワーなし、トイレ共同、台所共同、三畳一間で暮らすことを選択する住人たちは変人ばかりです。また、大家のおばちゃんが豪傑で、変人たちが起こす騒動を気合で納めていく姿に惚れます。
もちろん著者も変人で、幻覚性のある植物があると聞けば迷うことなく自分で食べてみるなど、普通の人では絶対にありません。
89年12月に日経平均株価が最高値(現在も更新されていない)をつけ、日本はそこから崖から転落するかのように不況に突入していくのですが、そのことにまったく気づかず、貧乏であることを気にせず、お金をかけない方法で自分の好きなことだけをやり、毎日怠惰でゆかいに生活していた若者たちがいたというのが、読み終わったいまも信じられません。
ちょっと貯金があるよりも、著者のようにお金がなければないなりにイベントを企画し、楽しく暮らせる人の方が絶対に不況に強いと思います。うつ病、無職の私はこの本からたくさんの笑いと勇気をもらいました。
まだ読んでいない人は、ぜひとも読んでください!