柚木麻子、双葉社
☆☆☆
リベンジ・ポルノを題材にした小説です。
大学生のときから、新社会人と言われるような年齢まで付き合った二人が性格の不一致が理由で別れます。
時は流れ、20代後半になり、女性がネットを検索していると偶然に自分の裸の写真を見つけてしまうのです。その写真はかつて恋人だった男に頼まれて、一回だけ撮影を許したヌード写真でした。この後、女性はどんな対応をするのかというのが今回のお話です。
要約してしまうとこの小説の面白みが伝わらないのですが、女性自身の心の動きや、女性の親友と家族の協力について詳しく書かれていてとても読みごたえがあります。
とくに悩みを打ち明けられてからの親友の動きが素晴らしく、同種の事件に巻き込まれたさいの参考になります。おそらく、作者はこの種の事件について取材したのだと思う箇所があり、ネットに流出した写真を掲載削除するために弁護士を使った場合の相場が書かれていました。いくらだと思いますか?
なんと一件あたり5万円です!
女性は写真を削除するために貯金がなくなります。恋人でも、夫婦でも、安易にヌード写真なんて撮らせちゃダメってことです。
小説は、かつて恋人だった女性と男性の目線で交互に語られていきます。二人の民度があまりに違うので、
「なんでこの二人がかつて恋人同士だったんだろう?」
と思いますが、結局は破局に至るわけですから、その点は納得です。
この本を読むと色々なことを考えさせられますが、私が一番に思ったことは、
【人は釣り合いのとれた者同士でしか縁がない】
という、54年間生きて得た教訓です。良縁に恵まれたければ自分もそれに見合った人になるしかありません。
私はとても面白く読むことが出来ました。お勧めの一冊です。