うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて

成田名璃子光文社文庫

☆☆☆

具体的な地名は書いてないのだけれど、東京の下町にある商店街から路地へ少し入ったところにかつて飲食店だった建物があります。

 

家庭の事情で満足な食事が取れない子供を集めて《子供食堂》を開いている人や団体がありますが、ここは生きるのが下手な大人たちが集まる食堂なのです。

 

利用するためのルールは簡単です。今は亡き創業者が残したレシピがあるので、集まったメンバーの中から抽選で選ばれた人がレシピの中から料理を選んで作り、みんなに振舞うこと。そして、食べさせてもらう方は「まずい」と言わないこと。

 

素人が作る料理なので美味しくない日もあるのですが、食堂はいつも賑やかです。集まっているメンバーは問題を抱えている人ばかりなんですが、根は良い人ばかりで、それぞれの悩みに真剣に相談に乗ってくれます。

 

読んでいて、こういう場所って必要だと思ったのですが、実際はありません。子供のための居場所を作るボランティア団体はわりとありますが、居場所がない大人を支援する福祉はないのです。

 

私は42歳で仕事のストレスからうつ病になって退職し、それから55歳の今まで孤独な無職を続けていますが、その間、人の温もりを感じたことはありません。国が孤独な人を助けるための予算を付けているんですが、私の所にはまったく届いてません。おそらく、孤独が原因の不幸な事故が起きたときの言い訳程度にやっているのでしょう。

 

家に居場所のない人が居酒屋やスナックといった所に集まりますが、そんな境遇に堕ちた場合でもお金が必要なんでしょう。

 

身も蓋もありませんが、世の中何をするにもお金が必要です。つまり、地獄の沙汰も金次第ってことです。