☆はじめに
7月の中旬から就労継続支援B型事業所(以下、B型事業所)に週一で通っています。B型事業所に興味がある方に私が体験したこと、考えたことをお伝えしたいと思います。
☆通い始めた理由
私は、40代の中ごろに健常者として働くために数年かけて就活しましたが、3百通の不採用通知をもらって諦めました。
しかし、一週間、他人と話さないことが珍しくない生活に限界を感じていました。そんなとき、社会と繋がることを熱望していた私は精神科の待合室でB型事業所の募集広告を見る機会がありました。
そこには【時給200円】とあり、そのことに絶望したのですが、自分が社会と繋がる道はそれ以外ないと判断して応募しました。
☆なぜB型事業所にしたか
就労継続支援事業所にはA型とB型があります。
A型では最低時給で働くことができるので、お給料の面では断然有利です。それでも私がB型を選んだ理由は、月一時間からでも働くことができるユルさが理由です。
A型は最低時給がもらえる代わりに事業所から労働力として期待されるので、一日4時間以上、月20日出勤くらい働く必要があるみたいです。
☆必要な手続き
就労継続支援事業所で働くためには市役所へ行って手続きする必要があります。障害者手帳があれば簡単に済むみたいなのですが、私はもっていなかったため、通院している精神科の医師による診断書の提出を求められました。それ以外にも簡単な書類に記入が必要なのですが、1時間あれば誰でも書ける程度のものなので心配不要です。
必要書類の提出が済むと約2週間後に【障害福祉サービス等受給者証】というワイシャツの胸ポケットに入るくらいの大きさの手帳が自宅へ郵送されてきます。
これを持って通所を希望する事業所へ行って下さい。
☆仕事の内容
B型事業所と一口に言っても色々な所があるみたいです。私はネットで自宅周辺のB型事業所を調べて決めました。コンピューターを使って働く所もあるし、屋外で肉体労働する所もありました。
私がやっていることは、ボールペンを組み立てる、ネジを小袋に決められた数入れてホチキスでとじる、などの軽作業です。募集要項にあった、「清潔な室内で、簡単な軽作業をする」という文句で決めました。
☆一緒に働いている人
手や足に一目でわかる障害のある人もいれば、健常者とかわらない外見の人もいます。ただし、一目で障害が分からない人も数回通うとみなさん強いクセがあることが分かり、健常者と働くことは無理なんだろうな、と感じます。
年齢層は、20代と30代が一番多く、この層だけで半分を占めます。そこからは60代(定年は65歳)まで各年代に1~3人います。
A型ではなく、B型ということもあるのでしょうが、出勤してくるメンバーの5分の1くらいが来たり、来なかったりで、行く日によってメンバーが増減します。出勤するか、しないかはかなり自由です。
私の事業所は、少ないときで10人、多いときで20人くらいで働いています。
☆うつ病でも大丈夫
うつ病あるあるで「元気な人が苦手」というのがあります。落ち込んでいるときに「気合が足りないんだ。元気出せ!」と言われたり、意味もなく「ウェ~イ!」とか言いながらハイタッチを強要されたりするのが、私は苦痛です。
うつでひどく落ち込んだ人はそもそも出勤できないのでいませんが、ハイテンションな人はB型事業所にいません。みなさんローテンションで、小さな声で話される方がほとんどです。一人だけ双極性障害の人がいて、私が出勤した日に、そう状態の日だったときがありましたが、そのときは職員から「小さな声で話しましょうね」と注意されて素直に従ってました。
B型事業所へ行ったら元気な人ばかりだったらどうしよう、と心配する必要はないと思います。
☆時給200円について
B型事業所にはワケありの人しかいないので、ここで働く理由を利用者に質問することなんてできません。しかし、時給200円で生計が成り立つはずがないので、経済的問題解決のためにB型事業所に来ている人はいないと思います。
☆簡単に辞められる
私が通い始めて3か月の間に新しい人が一人加入して、二人の人の姿を見なくなりました。
必要書類さえそろっていれば不採用になることはまずなく、嫌になったらすぐに辞められる所がB型事業所と感じます。
たくさんお給料をもらっていると辞めるのをもったいないと感じてストレスを感じながら働き続けるということがありますが、時給200円ではそんな気持ちになりません。
☆なんでB型事業所へ来るのか
前の段落でB型事業所へ来る目的はお金じゃない、と書きましたが、では何なのか?これも個人的事情に踏み込むことが難しいため利用者に質問したことはありません。だから、私が感じたことなのですが、①社会と繋がりたい②生活にリズムをつけるため③親が通わせている、であるような気がしています。
①ですが、体調が悪くなって早退した人が出たとき、
「具合が悪いなら家にいればイイんだろうけど、ずっと一人は寂しいからねぇ」
と発言した利用者がいて、周りの人たちがうなずいてました。
②ですが、私の通うB型事業所は始業1000、終業1600なのですが、始業から終業までフルで働いている人は半分で、残り半分の人は午前だけ、または午後だけで働いています。B型事業所へやって来ることで生活にリズムをつけるために来ているんだなと考える理由です。
③ですが、20代の人で欠勤と遅刻が多い人が一人います。不機嫌そうに働いているので、自分の意志で事業所へ来てないことが分かります。言動も典型的な発達障害で、「きっと家で腫物扱いされてるんだろうな」と私は見ています。
☆グループホーム
通い始めたころ、
「どこのグループホームから来てますか?」
と2回、利用者から質問されました。【グループホーム】という単語の意味を知らなかったので、私は実家から通っているとしか答えられませんでした。
あとでネットで調べたら、グループホームとは社会的弱者が行政からの支援を受けながら少人数のグループを作って、行政が借り上げた不動産で暮らす所のようでした。
20代の人はみなさん実家から通っているように見受けられますが、40代から上の世代はグループホームから通っている人が多い印象を受けます。
☆B型事業所のメリット
何と言っても自由に勤務時間を選べること。労働力として期待されていないこと。この2点につきると思います。期待されていないので、仕事をしていて経営者から圧力みたいなものを感じたことはありません。事業所の職員が利用者に仕事を頼むときは必ず最後に、
「急がなくてイイから、ゆっくりやって下さいね」
と利用者に言うのが習慣になっています。
☆B型事業所のデメリット
時給が安すぎて経済的問題を解決できないこと。作業が簡単すぎてスキルアップが期待できないこと。この2点です。
私みたいな50代のオジサンは次を考えていないので、スキルアップしなくて良いのですが、ボリュームゾーンの20代、30代は将来どうするんだろう、と心配になります。
☆障害年金
B型事業所の欠点に時給の安さを上げましたが、ネットで調べると障害年金という福祉サービスがあり、手続きをして行政から認定されると等級によって規定の年金、つまりお金がもらえるみたいで、B型事業所へくる方はもらっている方が多いようです。
世の中にB型事業所しか居場所がない方は、合わせて障害年金の受給もセットで手続きすることを検討されると良いと思います。
☆最後に
みんなワケありな人ばかりなので深い話は質問しずらいのですが、作業場の雰囲気は明るくて、みなさん他愛無いことをお喋りしながら作業しています。
知的、精神、発達の人もいるので、会話をするとかみ合わないこともあるけど、みなさんの雑談を聞いているだけで、私は独りで家にこもっているよりはマシに感じています。
時給が安すぎるので、今よりも多く働く気持ちには今のところなりませんが、週一で出かけられて気分転換できるのは貴重なので続けるつもりです。
世の中に居場所がなくて、居場所探しをしている人は試してみることをお勧めします。嫌だったら辞めればイイんです。
B型事業所は、来るもの拒まず、去る者追わず、という方針で運営されています。その証拠に、不採用通知3百枚受け取った私でさえ、必要書類を持って見学に行ったら、「いつから来ますか?」と当たり前のように言ってくれました。
B型事業所を労働搾取と捉えるか、社会的弱者の居場所と捉えるかは実際に体験してみて、あなたが決めれば良いのです。