尼野ゆたか、富士見L文庫
☆☆☆
5つの短編小説がおさめられています。1~4話には人の言葉を話す優しい柴犬が出てきます。5話には、どうやって人の言葉を話す犬が生まれたのかが書かれています。
1~4話までには深刻ではないけれど、「ちょっと気が進まないな」という思いを抱えている女性が登場します。
《ちょっと嫌なこと》に直面している女性の前にいつの間にかこたつに人が入る姿で暖を取る柴犬が現れ、渋い低音ボイスで、
「あなたの嫌なこと代わってあげます」
と申し出てくれるのです。
柴犬は家事、料理、育児となんでもござれで、とっても有能です。魔法も使えます。おまけに人生経験が豊富で女性に語り掛けるさいのアドバイスが女性の心に突き刺さるのです。話術巧みな柴犬と会話するうち、女性は嫌なことに取り組む方法のようなものを会得してしまうのです。
心温まるファンタジー小説です。