うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

婚活マエストロ

宮島未奈文藝春秋

☆☆☆

《成瀬は天下を取りにいく》の作者である宮島さんの最新作です。

 

《成瀬は~》が最高に面白かったので期待して書店で迷わず速攻で手に入れてすぐ読みました。

 

本のオビに、

 

『爆走型エンタメ誕生!』

 

と煽ってあったので、《成瀬は~》のようにブッとんだ主人公が活躍するお話かと思っていたので、読み終えて騙された気分です。

 

100点満点で評価するならば、この本は70点で、エンタメ小説としては合格点を与えられますが、《成瀬は~》のように100点は与えられません。文庫本になるまで待って買えば良いと思います。

 

お話は静岡県にある社長一人、社員一人の零細婚活会社を舞台にしたお話です。そこの唯一の社員は、ネットで【婚活マエストロ】といつの間にか呼ばれるようになった優秀な女性社員です。

 

主人公は、40歳になったばかりのフリーの男性ライターです。婚活の記事を書くことを依頼され、取材がてら婚活マエストロのいる婚活会社のイベントに参加します。

 

そこから、婚活マエストロとフリーのライターのやりとりを描いて、最後に二人はお付き合いする一歩手前まで仲を深めて物語を終えるという展開です。

 

二人の主要キャラのどちらも、一回も爆走していません。

 

婚活イベントもごく普通のもので特筆するべきものはありません。

 

40歳、独身、自由業、貯金なし、という低スペックな男性ライターが優秀で美人な女性に好意を持つようになり、相手もそれを受け入れるという、どこかで読んだことがあるような夢物語です。現実では、そんなことめったに起こりませんから共感しながら読むというのも難しいでしょう。

 

処女作があまりにも出来が良すぎるとその後に苦しむ典型です。