あの頃、私は孤独を解消するために始めた就活が上手くいかずに困っていました。そんなとき、合奏教室の募集広告が図書館前の掲示板に貼ってあるのを見て、応募することにしました。
入会してみると、メンバーは定年退職してリタイアしたあとの人ばかりでした。40代(当時)は私だけで、話し合いも何もなく、先生から会の代表に任命されました。
《代表》ってなんだ?、という感じだったのですが、ほどなくして分かりました。要は、使い走りです。
レッスン会場になっている公民館の音楽室は予約制で、予約はネットを介して行います。希望する団体が複数いた場合は抽選となります。
当選してからが面倒なのです。公民館に出向いて、支払いをしてチケットを受け取らなければならないのです。代表なんて偉そうな役職名ですが、私に任されたのは、この支払いとチケットの受け取りでした。
ただ、このシステムの運用が始まった当初は抽選日に結果を先生からメールで知らせてもらえていたのが、だんだんと遅くなっていきました。
当選した日から一週間以内に支払いに行かないとキャンセルとみなされてしまうのですが、逆に言えば、一週間の猶予があるとも言えます。
メールで支払いに行くように指示があってから、一週間先までの私のスケジュールを照らし合わせて、予定のない日に公民館へ出かけて行ってたのです。
それが、知らせがくるのが抽選日から6日後となって私は腹が立って文句を言いました。
「それって、今日か明日までに公民館へ行けってことですか?私にも予定があるんだから考慮してください。」
すると先生は、
「あなたの家からなら自転車で15分だし、無職だから時間あるんですよね?」
と言われたので頭に血が上り、その場で代表を辞職しました。
そのやり取りの中で分かったのですが、先生は合奏教室以外にも音大時代の友だちと公民館の音楽室を利用していて、抽選日の後から友だちとスケジュール調整していたのです。スケジュール調整に時間がかかり、私への連絡が後づれしていたのです。
本当に都合よく使われただけでした。代表の仕事を一年半くらいやらされましたが、金銭的な見返りは一円もありませんでしたし、合奏教室の日にチケットを渡しても「ご苦労様」と一言言われてお終いです。こんな私だけがサービスを無料で提供するだけの関係って長続きしませんよね?それとも私の心が狭いんでしょうか?
孤独を解消するために参加した合奏教室だったのですが、その結果として悪い縁を引き寄せてしまったことが残念でした。良縁と巡り合うのって本当に難しい。
弱っているときは、それにつけこむ悪い人が近寄って来るから気を付けなければならないなと考えさせられた経験でした。