あすにはなろう

思ったことをとりとめもなく書いてます。何のまとまりもありませんが、読んでいただけたらうれしいです。

団地のふたり

藤野千夜双葉文庫

☆☆☆

とても素晴らしい物語です。物語の中で特別なことは何も起こらないけど、ずっと物語の中にいたい、ページをめくるのがもったいないと感じさせる本に久しぶりに出会いました。本の紹介を文庫本の表紙の裏から下記に拝借して載せます。

 

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イラストレーターながら今はネットで不用品を売って生計を立てているなっちゃんこと奈津子。大学の非常勤講師を掛け持ちして生活するノエチこと野枝。そんな幼馴染の二人は50歳を迎え、共に独身。生家の築古団地でそれぞれ暮らす。奈津子の部屋で手料理を一緒に食べ、時にはささいなことでケンカもする。高齢のご近所さんのために、二人で一肌脱ぐことだってある。平凡な日々の中にあるちいさな幸せや、心地よい距離感の友情をほっこりと優しく描いた物語。
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保育園へ通っていたころに結ばれた友情が50歳になっても続いているということに驚きです。人間関係というものは、ライフステージが変わるとガラガラポンされてしまうのが普通だからです。

 

お互いが、

 

「あなたのことなら良いところも悪いところも知っているから大丈夫」

 

と言って、付き合っているのが最高です。

 

アメリカの大富豪で個人金融資産が20兆円とも言われるウォーレン・バフェットというお爺さんに「幸せってなんですか?」と質問したところ以下のような回答がありました。

 

「60歳を迎えたときにあなたの身近に愛する人がいて、その愛する人があなたのことを愛してくれていたら、それは幸せなことだろう」

 

長い時間、途切れることなく続いた愛情や友情というものは人生の宝だと思います。そして、それは簡単なようでいて、とても難しいものだと思います。だからこそ、奈津子と野枝の物語は素晴らしいのです。