鍋倉夫、小学館
☆☆☆
青年誌に掲載されている漫画なんだけど、女性が読んでも刺さる人が五割くらいいるんじゃないかと思う素晴らしく、かつ異色の漫画です。こんな話、どこかで読んだな、とはなりません。
長編漫画ではなく、一話完結型の漫画なので、寝る前に一話とか、通勤電車の中で一話とか読むことができます。一話読むのに約10分です。
タイトルに【路傍の】とあるのは、どこにでもいそうな藤井さんということなんだと思います。
しかし、読んでみればスグに分かりますが、こんな聖人みたいな人はいません。
設定上、藤井さんは無口でマジメだけが取柄となっているんですが、違います。自分からは発信しないのですが、藤井さんはインタビューする力が仏陀レベルなのです。
仏教説話に出てくる仏陀は凄腕カウンセラーなのですが、藤井さんのレベルはそれと同等です。
藤井さんに興味を持って近づいてくる人は皆、最初は藤井さんを侮っているのですが、コミュニケーションを取るに至って藤井さんの影響下に入ります。
藤井さんにその気があれば大宗教の開祖になれるんですが、人間関係の距離が近づき過ぎると、
「自分はマイペースな人間だから人と関わると迷惑がかかるので一人でいます」
と藤井さんから安全距離を取るに至ります。
繰り返し登場するキャラもいますが、固定されたメンバーだけでなく常にゲストのような感じで、新しいキャラが出てきて藤井さんに影響されて少しだけ人生の方向が変わっていくのを読むのが大変面白いです。
現在、4巻まで発売されていて、連載中です。こんなに面白い漫画を今まで知らなかったのが悔しいです。教えてくれる友だちがいたら一番良いのだけど、うつ病で無職でだと夢物語です。