あすにはなろう

思ったことをとりとめもなく書いてます。何のまとまりもありませんが、読んでいただけたらうれしいです。

絶望名言

頭木弘樹飛鳥新社

☆☆☆

NHKラジオの《ラジオ深夜便》で人気になったコーナーの書籍化です。

 

眠れない夜にラジオを付けたら、頭木さんが落ち着いた声でゆっくりとした語りで詩の内容を解説していて、それが今日紹介する《絶望名言》でした。書籍化されていると知り、スグに購入しました。

 

文学紹介者として活動する頭木さんは20代になったばかりの頃、突然に難病に襲われて、20代のすべてを闘病生活に奪われるという体験をします。

 

その苦しい生活のなかでカフカと出会い、彼の残した絶望名言に触れるのです。

 

人は絶望の中にある時、「がんばれ」と励まされるよりも寄り添う言葉をかけられる方が救われるときがあります。カフカの絶望名言は病床の頭木さんにそっと寄り添ってくれる言葉だったのです。どんな言葉か例をあげると、

 

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ぼくは人生に必要な能力をなにひとつ備えておらず、ただ人間的な弱みしか持っていない。無能、あらゆる点で、しかも完璧に。

 

将来にむかって歩くことは僕にはできません。将来に向かってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
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頭木さんは、世の中というものは成功者しか取り上げないけれど、文学はダメな人、弱い人を扱うことが出来る。そして、そのような人に寄り添い、あなただけじゃないよと慰めてあげることが文学の役割じゃないかと思うと仰ってます。

 

上手くいかないことが続いて落ち込んでいる人に読んでもらいたい本です。文学の入り口になってくれる本です。