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1970年の女子高生の生活がリアルに分かる青春小説です。
身長150センチ、体重60キロの太目の高校一年生タヤマシゲミの4月から翌年の3月までを描いています。
シゲミの通う高校の偏差値が書かれていないため、本を読んでの推測になるのですが、偏差値55~65くらいの高校ではないでしょうか。
なんでそのように思うかですが、不良が出てこないし、受験勉強に熱心な生徒もいないからです。
話しの主軸は学校内で起こったことなのですが、桃耳高校は桃源郷のような場所です。うるさいことを言う先生は一人も登場せず、すべては生徒の自主性にまかされています。
主人公のシゲミとその友人たちの頭の中は恋愛のことで一杯で、すてきな男子を常に追い求めています。男子も同様で、今よりも圧倒的に娯楽が少なかった高校生の関心が異性と仲良くなることだったことが分かります。
インターネットが無かった時代の高校生に興味がある人にぜひ読んでほしい小説です。また、この時代に高校生だった方々は昔を懐かしく思い出して読まれるとよいでしょう。
私個人の感想ですが、私は80年代に高校生だったのですが、シゲミが過ごす日常とほとんど変わらない高校生活を送っていました。
70年代の高校生と80年代の高校生で違うことは、レコードがCDに変わったくらいです。インターネットが若者の行動と思考に与えた影響と、ここ20年くらいの間の時代の変化のスピードがものすごかったことを実感しました。
なにも難しいことは出てこないゆるい小説です。たのしく読める本なので、気楽に手に取ってください。