あすにはなろう

思ったことをとりとめもなく書いてます。何のまとまりもありませんが、読んでいただけたらうれしいです。

世界がぼくを笑っても

笹生陽子講談社文庫

☆☆☆

主人公は中学二年生の北村ハルト。ハルトの母親は、ハルトが物ごごろつく前に、

 

「もういいです」

 

と父親にメールして蒸発してしまったので、父子家庭です。

 

父親はギャンブルが大好きで、昔からずっと一攫千金を夢見て生きてきたせいで貧乏です。

 

父親は職を転々とし、今は水商売をしているので繁華街の近くにある安アパートで暮らしています。そのせいで、小さなころから繁華街で育ったハルトは世の中の裏も表も知っています。ハルトは普通の中学生よりもずっと世間のことが分かっていて大人です。

 

体が大きくて、運動神経も良いのだけど、貧乏でいい加減な父親の下ではどうしても無気力な中学生になってしまい、勉強も熱心でないし、帰宅部に所属しています。

 

こんな感じのハルトは、せめて学校生活だけでも平和に過ごしたいと願っていたのに、担任になった先生は教師一年目でお世辞にも教師が向いているとは言えない男性教師でした。

 

ハルトは基本いい奴で、他人を思いやる心を持っています。ただ、恥ずかしがり屋なのでうまく表現できません。とても無口なのです。積極的にクラスのためになることはしませんが、常に陰でそっと支えるナイスガイです。おまけに喧嘩が強いです。この特技はクラスメイトの誰も知らなくて、物語の終盤に急に発揮されてクラスメイトを驚かせます。

 

じゃりン子チエ》という漫画がありましたが、それにちょっと似ている話だなと感じました。読むと心がジワジワ温かくなります。中学生に読んでもらいたい本です。