図書館の神様

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瀬尾まいこ、マガジンハウス
☆☆☆
児童書のコーナーに置いてあった本なのですが、違うと思うんですよねぇ。

 

主人公は大学を卒業して、地方の鄙びた高校の国語講師になったばかりの早川清(はやかわきよ)。

 

清は中学、高校とバレーボール部のエースとして活躍していました。バレーに対してはいつも真剣で、自分にも他人にも厳しい清でした。高校3年生のとき、練習試合でミスばかりしていたチームメイトを厳しい口調で怒ったところ、そのチームメイトは翌日に自殺してしまいます。それまでも後輩を厳しく叱責して何回も泣かせていたので、

 

『そんなことで死ぬ人間がいるわけがない』

 

と清は思ったのですが、バレー部内で清は批判の目に晒されることになり、退部することにしました。それまでは弱い人間、できない人間を追い回していた清でしたが、このことがきっかけで、学校内にも居場所がなくなり、卒業までひっそりと高校生活を送らなければなりませんでした。チームメイトを自殺に追い込んだという噂は地元に広まり、実家にも居づらくなったので、清は逃げるように地方の私立大学へ進学します。

 

清は大学2年生の時に知り合った結婚している男と不倫をするようになります。やがて男の妻は妊娠し、そのことを知った清は男が妻のことを大事にしながら、自分とも付き合っていることに改めて気づき、嫉妬し、なおかつ罪悪感にも苛まれますが、知り合いが誰もいない地方での生活が寂しくて、男との付き合いを切ることもできず、大学卒業後もズルズルと付き合い続けます。

 

こんな10代の子供たちのお手本にはならない清の目線で書かれた小説です。この小説に登場する大人たちは清くも、正しくも、美しくもない人間たちばかりで、ここから子供たちに与えられる教訓といったら、ダメ人間も命ある限り生きていかなきゃならない、ということでしょうか。なので、私は、子供たちに夢を与えるでもなく、教訓を示すわけでもない本書は児童書に分類するのには無理があるように思うわけです。

 

でもですね、中年と呼ばれる歳になって思うわけです、神様に祝福された人生を送れる人なんてほんの一握りなんですから、こういう普通の弱い人間を主人公にした小説も存在価値はありますよね。騙し、騙しなんとか一日をやり過ごしている登場人物たちを私は愛おしいと思いました。