うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

われら滅亡地球学クラブ

向井湘吾、幻冬舎文庫

☆☆☆

地球の直径の4分の3もある天体が地球にぶつかることが分かりました。天文学者たちはギリギリまでこのことを隠していたけれど少しずつ情報がもれて、「実は、、、」と真実を発表します。

 

世界中で治安が一気に悪くなり、略奪、暴動、内戦が起こります。日本も例外でなく、その被害は甚大でした。しかし、暴れるだけ暴れると公共サービスはなくなり、電気やガスなどの社会インフラも止まってしまいました。

 

そんな風になってみると人はかえって落ち着きを取り戻し、地球滅亡まで静かに暮らそうと思う人も大勢でてきて、この物語の主人公である天堂碧(18)は今まで通り高校に通うことにしました。そして、この物語は地球滅亡まで残り110日前から始まります。

 

滅亡地球学クラブでは、地球滅亡まで有意義に暮らすことが活動内容で、明るく常に前向きな部長の玉華、物理が得意な眼鏡クール女子の刹那、歴史と哲学に詳しい正義、そして、生物が得意な碧で構成されています。

 

あと110日で地球があとかたもなく砕けてしまうとなったとき、高校生はどんな風に生きるのか、社会はどうなるのか、そんなことを考える実験的な小説です。

 

個人的には、残り日数がわずかになったときに四人が同じ選択をしないで、別々の道を歩むようになったのがよかったです。どんな最後を迎えたいかは人によって違いますから。そんな彼らを見て、読者も私ならどうするかを考えると良いと思います。