うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

成瀬は天下を取りにいく

宮島未奈、新潮社

☆☆☆

2024年の本屋大賞受賞作です。

 

まず、とにかく面白いから読んでほしい。こんなヒロインは55歳になるまで出会ったことがありません。ニューヒロインの誕生です。

 

成瀬あかりという女の子が中学生から高校生になるまでが書いてあります。

 

成瀬はいつも一つ目標を立ててそれに一直線に向かっていくのですが、その目標がこれまでのヒロインなら絶対にやらない目標なのです。

 

最初の目標を親友の島崎に打ち明けたときのセリフが以下です。

 

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」

 

読者は「なんだそりゃ」、となるわけですが大丈夫です。これを打ち明けられたときに島崎にも意味が分かりませんでした。

 

このように凡人には思いつかない目標設定を繰り返し、突き進む過程で周りの人間に良い影響を与えていくのですが、その様子が痛快なのです。

 

普通、このお年頃は反抗期で醒めた奴がカッコイイみたいな時期です。だから、成瀬に批判的な同級生も現れるのですが、成瀬は強くてそんな奴らは完全無視です。成瀬はいつも自分の道を全力疾走しています。

 

こんな奇想天外なヒロインが誕生するなんて素晴らしい!本当はネタバレして感想を語り合いたいのだけれど、ここでそれが出来ないのが悔しい。

 

読むと元気がもらえる小説です。強く推薦します。