楽園のカンヴァス

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原田マハ、新潮社
☆☆☆
理学部を卒業した私には美術を研究する人がとても奇異に見えていました。美術品って盗難や災害で価値が損なわれることはあっても作品自体が何かを新たに生み出すことはありませんよね?だから、

 

「美術品を研究して何の意味があるんだろう?」

 

と思っていたのです。しかし、この小説を読んで、美術品を巡って莫大なお金が動き、その取引には作品の真贋が何より重要で、真贋を判定するためには権威のお墨付きが必要なことが分かりました。

 

2000年、早川織絵は倉敷にある美術館でフランスの有名大学で美術史の博士号を取得した経歴を隠して監視員をしていました。そんな織絵のもとにアメリカの世界的に有名な美術館のキュレーターからアンリ・ルソーが描いた名画《夢》の貸与を巡って、交渉相手に指名されたことから物語が動き出します。

 

監視員とは単なる警備員です。そんな一介の監視員が美術界の世界的権威からビジネスパートナーに指名されたのは何故か?名画を巡って繰り広げられたミステリーが1983年のスイス、バーゼルに遡って明かされます。

 

美術の知識を駆使して蒐集家が秘蔵してきた絵画の真贋に挑んだ織絵は何を経験し、何故、美術界から身を引いて日本の地方都市の美術館で隠れるように暮らすことになったのか?

 

アンリ・ルソーがのこした絵画を巡るミステリーです。