消えてなくなっても

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椰月美智子、メディアファクトリー
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タウン誌の編集者をしている水野あおの(23歳)は体調不良に悩んでいました。それも、わかり易い病気ではなく、周りのものが不潔に思えてしまって何度も手を洗ってしまったり、車を運転中に落ち度のない人を轢いてしまう妄想に苦しめられたり、といったもので、俗に言う《不安神経症》になってしまったようです。

 

そんなとき、床屋で散髪をしてもらっていると、膝が痛くて歩けなかったお婆さんが一度通院しただけで、歩けるほど回復したという評判を耳にします。

 

そこは鍼灸あん摩マッサージで、精神科へ行くべきあおのとは本来関係がないところなのですが、あおのは何故かその治療院に興味がわいて、取材をかねて訪ねます。

 

話題のキシダ治療院は山村の集落から少し離れた山中にあるため、静かで緑豊かな場所に建っていました。そこには45歳くらいに見える鍼灸あん摩マッサージ師の岸田節子先生と自称家事手伝いの平井つきの(24歳)が暮らしていました。

 

節子先生があおのに、病気が治るまで好きなだけ私のところに泊まっていきなさいと言ってくれたことから、キシダ治療院でのあおのの療養生活が始まります。街の生活で疲れたあおのの心が豊かな自然と不思議なヒーリング能力を持つ節子先生、そして、口は悪いけれども明るい性格のつきのサンとの生活で少しずつ癒されていきます。

 

そして、豊かな自然が残るキシダ治療院は人ならぬものの住処との境界にも近いようです。あおのの心が浄化されていくにつれて、あおのは今まで見えなかったものが見えるようになって、新たな出会いに恵まれます。

 

心を病んだあおのが優しい節子先生、口うるさい姉のようなつきのサン、豊かな自然、人ならぬものとの交流を通じて再生していく物語です。最後の最後でどんでん返しのようなラストが待っています。