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たとえば、すぐりとおれの恋

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はらだみずき、祥伝社
☆☆☆
恋愛小説です。

 

物語は社会人一年目の男女、向井すぐりと高萩草介の目線で交互に語られていきます。二人が共有した時間を男女でどう感じたのかが分かって面白いです。

 

田んぼが広がる農道で車がパンクして立ち往生しているところをすぐりは草介に助けてもらいます。それをきっかけに二人は付き合い始めます。

 

両親と祖母の愛情を受けて育ったすぐりは自分も結婚し、子供を産んで家庭を築くのだと自然に思っているのですが、草介は違うみたいです。

 

草介は複雑な家庭で育ち、20歳のときに一家離散を経験していたのです。人を愛することが出来ない両親のもとで育った草介はすぐりとどうやって付き合っていけばいいのか分からないのです。

 

すぐりは草介のことを何でも知りたいと思っていますが、草介は忌まわしい過去を忘れたいと思っています。二人の気持ちが少しずつかみ合わなくなって、事件が起きます。

 

しょせん、人と人は完全に分かり合うなんてことはできないわけですが、そのことを体験を通じて分かったあと、自由と孤独を選ぶか、束縛と温もりを選ぶかは個人の資質によるところが大きいのでしょうね。すぐりと草介は最終的にどちらを選ぶのでしょうか?それは読んでのお楽しみです。

 

私が印象に残ったのは、すぐりの精神的支えだった祖母が出す結論です。マスコミでは【絆】ばかりに価値があるように報道されていますが、【孤独】にだって価値があると思うからです。

 

高校生から結婚適齢期の人が読むと、自分たちの今と重なって感動が倍増するんじゃないかと思います。