夏のバスプール

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畑野智美、集英社
☆☆☆
物語開始早々、涼太(高一)が学校へと続く畑の中の道で、美少女(久野愛実、高一)からトマトを投げつけられてシャツを汚してしまいます。

 

「ボーイ・ミーツ・ガールなキラキラした話か?」

 

と思い、読み始めた本でしたが少し違いました。

 

涼太の通う高校は私立の中高一貫校です。中学からの内部生と高校から入学した外部生との間に壁があるけれど、目立ったイジメもなく、のんびりした雰囲気が漂う学校に涼太は不満がないのだと物語の序盤では思えます。しかし、読み進めていくと、そんな一見平和そうに見える学校にも色々と問題があるのです。

 

・親友の青野は涼太の幼馴染と付き合っているのですが、上手くいってないみたい。

・高校に入ってから不登校になってしまった富くんが学校に来ない原因は自分のせいかもしれない。

・野球部のエースが涼太をライバル視してくる意味が分からない。

・元カノの河村さんが湿っぽい視線を向けてくるのは何故?

・なにより、トマトをぶつけられてから気になって仕方がない久野さんがこの学校に高校から入学したのには事情がありそう。

 

大人になってしまうと忘れてしまいますが、振り返ってみると、小学校から高校までの教室って、ものすごい人口密度ですよね。狭い教室に人を詰め込んでいるわけですから、何も起こらないなんて方が奇跡です。それこそ、涼太が物語の後半で気づくような、意識せずに他人を傷つけていた、なんてことだって起こります。

 

高校一年生の夏休み直前に起こった事件をギュっと濃縮した物語です。