むかし、高校を中退した親戚の話をこのブログで書いたけど、その子(Aとする)が人生の岐路に立って決断したので報告します。
Aは高校を中退したあと、午後6時に起床して午前10に就寝するという規則正しい(?)生活を始め、インターネット上にあるひきこもりのコミュニティにドップリと浸かっていました。
ひきこもりになって初めての春、親が心配して通信制の高校やフリースクールのパンフレットを探してきてAを説得したのですが失敗。Aのひきこもりは新年度を迎えても変わりませんでした。
しかし、Aは次の春がやってくるまでにネットからの情報で中卒ではロクな就職先がないことに気づきます。冬になったころ、Aは通信制の高校で有名なN高校へ進学することを決めます。
Aが受験勉強をしたとは聞いてないのでN高校は無試験で入れるか、または、入学試験があったとしても解答用紙に名前を書く学力があれば合格する高校と思われます。
N高校は日本でもっとも有名な通信制高校だけあって、パンフレットの情報を信じれば手厚いカリキュラムを用意した学校なのですが、すべては生徒の自主性に任されています。言い換えれば、やる気のない子供はどこまでも怠けることが出来る学校でもあるのです。
一例を話すと、Aは中間や期末で赤点を取る(定期テストは試験会場へ行って受験する)のですが、追試はリモートで行うのでカンニングし放題です。ですから、追試で不合格はありえません。これらのことから、
①授業料を払わない。
②定期テストを受けない。
③追試を受けない。
の3つを回避できれば、3年経つと高校卒業資格を自動的に手にすることができる素晴らしい学校がN高校です。
そんな充実した高校生活を送ったAは、
「テレビ局かラジオ局に就職したい」
と言い出しました。華やかな世界に憧れるというのが志望理由でした。それで、無試験で入れて、音響技術を教えてくれる専門学校に入学しました。
無試験で入れる専門学校というのはどこも似たようなもので、Aから聞いたところでは、2割の熱心な生徒、7割のモラトリアム生活を楽しむ生徒、残り1割が入学式から1か月で不登校になる生徒で構成されるそうです。
で、Aが現在どんな状況かと言いますと、専門学校2年生で来春卒業予定なのですが、テレビ局とラジオ局からは不採用通知しかもらえず、妥協して履歴書を送付したインターネット専業の動画制作会社からも不採用通知しかもらえていない状況です。
敗因ですが、まず、マスコミは学生に人気の職業で、テレビ局とラジオ局は有名な大学を卒業した若者しか就職できないようです。なので、書類審査ですべて落とされてしまい、面接まで辿り着かないとのこと。
インターネット専業の動画制作会社では面接をしてもらえたそうですが、必ず、
「あなたは高校を中退したあと通信制の高校へ入学するまでに1年半空白期間がありますが、この時期に何をされていましたか」
と質問されるそうです。聞かれない会社は無かったとのことです。
まぁ、Aも想定問答として用意してきた嘘を喋るのですが、結果は全滅だったので誰も信じなかったのでしょう。
世の中、
「多様性を大事にしよう!」
なんて言ってますが、社会というか、会社が求めている人材はみんなが出来ることをみんなと同じように処理できる普通の人間です。Aのように高校生のときに1年半のひきこもり生活経験者はお呼びでないというのが現実です。
Aは人手不足が問題になっている業界へ転進する気持ちはなかったので、専門学校時代にやっていた動画編集のアルバイト(リモートで出来る)でしばらく食いつないでいくみたいです。と言ってもたいした金額にならないので、専門学校卒業後も実家の子供部屋に住み続けるみたいです。
Aのこれまでの経験から学べることは、
①たいした理由もなく高校を中退しないこと。
②無試験で入れる学校は世の中から評価されない。
③みんなが出来ることが出来ない子供は普通に就職できないから、組織に属さずお金を稼ぐ方法を考えよう!
の3つです。世の中は多数派が暮らしやすいようにできています。自分が少数派だと思う人はぼんやりしていると貧困に堕ちます。少数派の人は知恵を絞ってサバイバルしましょう。