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ネバーランド

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藤野千夜、新潮社
☆☆☆
主人公は都内で一人暮らしをしているミサ(30)です。大学卒業の年に小説の新人賞に応募したところ大賞を受賞したことを幸いに、現在まで小説家として身を立てています。

 

ミサは堅苦しいことが大嫌いで、ふざけているのが好きです。そんなミサが暮らすマンションは、きちんとした大人になれないアラサーたちのたまり場になっています。そんなことから、ミサの住処は友人たちから子供の国という意味で【ネバーランド】と呼ばれています。

 

姿は大人だけれども中身は子供のアラサーたちが出入りするネバーランドにミサの運命の人となる隆文(27)がやって来て物語のスタートです。

 

笑顔が素敵という理由でミサが惚れてしまい、隆文と同棲することになるのですが、そこはネバーランドの住人です、隆文は食べて寝る以外のことは何もできません。一応、働いているらしいのですが、生活費をまったく入れてくれません。その上、もう一人彼女がいて、時々、そちらの家に帰るのです。これらのコトは普通の恋人たちならば大問題だと思うのですが、小学生並みの倫理観しかない隆文は全く悪びれるところがありませんし、隆文にベタ惚れのミサは隆文に嫌われるのが怖くて隆文を追い詰めることもできないのです。

 

そんな感じでズルズルと続く同棲生活を描いた物語です。ネバーランドの運営者であるミサは面倒なことが嫌いなので、対立が決定的になることやドロドロした展開は一切ありません。だから、隆文を巡って二人の女が戦うなんてことはないので、こわい話が苦手な方も安心して読んでください。

 

ミサの目線で書かれた物語なので、隆文のダメ男ぶりばかりに目が行ってしまいますが、そんなダメ男に精神的に依存してしまうミサも私はダメ女だと思いました。そういう意味で、二人はお似合いなんでしょう。

 

私の女友達たちは皆、自分にも他人にも厳しい女ばかりなので、ダメ男はバッサリ切り捨ててお終いです。ミサのようにダメ男とズルズル付き合う女や、別れても別れてもダメ男を引き当ててくる女って実際にいるみたいですが、私は実物にお目にかかったことはありません。そういう女の話は、第三者として聞くぶんには面白いけど、血縁者だったら困るんでしょうね。