うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

今日のハチミツ、あしたの私

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寺地はるな、角川春樹事務所
☆☆☆
主人公は塚原碧(30)です。チェーンストアーの喫茶店で働いています。有能で、業績が落ち込んだ店に乗り込んで立ち直らせる仕事をしています。しかし、業績が落ち込んだ店にはポンコツ店員がいるため、人に強く出ることが苦手な碧は苦労が絶えません。

 

さらに、碧には美大を卒業したけれど定職につかず、かと言って絵の創作に努力するわけでもない安西という彼氏がいます。当然お金がなく、家賃を払えなくなって碧のアパートに転がり込み、そのまま数年経過しています。これで家事ができればなぐさめになるのですが、安西はどんなにヒマでも家事を一切やらず、碧が作る食事を当たり前のように食べ、好きな時に好きなことだけして暮らし、それらについて何の疑問も持たずに生きています。

 

そんな安西から、「田舎に帰るから、一緒に来ないか?」とプロポーズされます。迷った末、仕事を辞めて安西の実家に行くのですが、そこで安西の父親から、

 

「結婚は認めない。あんたは帰ってくれ。」

 

と言われ、碧の進退は極まります。

 

ここから碧が自分の力だけで居場所を作っていくのが物語の本筋です。これだけ不幸の星のもとに生きてきたら、普通の30歳女子では立ち直れないと思うのですが、碧は知り合いが誰もいない田舎町で少しずつ居場所を作っていくのです。

 

碧は押しが強い人間ではありません。どちらかというと人の表情を読みながら、遠慮がちに発言する女です。メンタルが弱く、ストレスが溜まるとひどい胃痛になり、活動に支障がでることもたびたびです。両親とは不仲で、こんなに困っているのに頼れません。だけど、翌日の朝になると、

 

【今日やれることを一生懸命やろう!】

 

と立ち直る強さを持っているんです。碧と関わってくるサブキャラたちも安西を除いては、解決不能な困難な状況の中でもできる範囲で努力を諦めない人が多数登場するので、読んでいて私も頑張らなくちゃ、とエネルギーを充てんしてもらえました。

 

最後に、この物語に登場する安西のようなダメ男、またはダメ女と付き合っているみなさん、一刻も早く別れましょう。私は50年生きるうちに何人かのダメ人間と関わりましたが、一人のダメ人間も更生していません。

 

【馬鹿は死ななきゃ治らない】

 

は真実の言葉です。