菅野仁、ちくまプリマー新書
☆☆☆
芥川賞作家の又吉直樹さんが推薦していたので、読んでみました。
人付き合いが苦手な高校生に向けて書かれた本だと思いました。作者は子供向けに書こうと努力していますが、哲学的な言い回しが多用されているので中学生には難しい気がします。
お釈迦様が、人間の悩みの大部分は人間関係から発生していると言ってますが、その悩みについて高校生にもわかり易く哲学的にアプローチしているのが本書です。内容を要点だけ箇条書きにすると、
・話せばわかるはウソ。
・すべて分かり合える他人はいない。
・ソリが合わない人とは無理に仲良くならなくて良い。
・「親しさ」か「敵対」の二択でなく、「態度保留」という関係も必要。
・どんな分野でも上には上がいるから、ほとんどの人は挫折を経験する。
以上のような現実を踏まえて、気が合わない人とも社会生活を営めるように訓練する必要があると説いてます。
学校では子供たちにむかって「誰とでも仲良く」みたいなきれいごとを教えますが、現実に即した実践的な人付き合いの方法を教えてくれているのが、この本の画期的なところです。