うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

人は、なぜさみしさに苦しむのか?

中野信子アスコム

☆☆☆

42歳で公務員を辞めてから、十年以上孤独に苦しんでいます。そんな私にド直球なタイトルで目に飛び込んできたタイトルでした。迷わず手に取り中身も見ずにレジに並んで買って帰りました。

 

変なスピリチュアルな話は一切なく、一貫して科学者らしい理屈の通った話で好感が持てました。ただ、現在さびしい人に希望を与えるようなことは書いていないので、そういったことを望む人には向いてません。

 

人の生活は急速に変化したのですが、脳の進化がそれにまったく追いついていないから孤独を感じるそうです。

 

人は、鋭い牙、爪を持たず、速く走ることもできない動物です。多くの野生動物と一対一で戦えば敗北します。だから、とても長い時間を集団で過ごしてきたわけです。そんな人間が一人で生活できるようになったのは進化の歴史からしたらつい最近のことです。

 

人の脳は縄文時代のままなのに、科学だけ急速に発展してしまったため、適応できずに苦しんでいるというのが、人がさみしさに苦しむ理由です。

 

進化というものは、一万年単位のスパンで見る必要があり、人の脳が孤独を受け入れるのは遠い遠い未来のことです。だから、この本を手に取った人の人生の中で孤独の苦しみを解決する方法なんてありません。この点、著者の中野さんは諦めるよりないと断言しています。

 

では、なんで孤独が苦しいのかというと、進化の過程でそういう人が生き残ってきたからです。孤独が平気な人は長い時間の中で淘汰されたのです。

 

【孤独が辛い→集団に参加しよう】

 

と思えない人は猛獣に食べられたり、餓死してしまったわけです。このように、孤独を不安と感じる能力がなければ、私たちの先祖は厳しい野生を生き延びられなかったのです。

 

以上が、この本のエッセンスです。これ以外のことは色々な本によく書かれていることでした。

 

たとえば、

 

「友だちというのは、《理解》、《共感》、《対等》という3つの条件が揃ってはじめて成立するもの。これだけの条件を揃えた人と巡り合うことはたいへん珍しいこと。集団の中にいても孤独を感じるのはこれが理由です。」

 

とか、

 

「孤独をとっかかりにして金儲けをしている人もいるから気を付けましょう。具体的には、結婚詐欺、後妻業、新興宗教などがそれに当てはまります。」

 

とか、

 

「人付き合いは距離感がたいせつです。孤独を感じるあまり人との距離をつめすぎて人間関係を悪くしないようにしましょう。」

 

とか、

 

「友だち百人できるかな、なんてキャッチコピーを気にすることなんかありません。孤独は何も悪いことではないからです。」

 

なんてことが書かれています。

 

不安を感じることは未来の危機に備えるための能力なのだから、むしろ必要な能力なのだと言ってもらえたのが救いになりました。