小川洋子、小学館
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絵画、音楽、文学などの創作活動に従事している人たちは他人を感動させる前に自らが感動して、
『この思いを他の人々にも伝えたい!』
と思うようにならなければ作品を作り出すことができないと思います。
それでは、どんなときに人が感動するかと言えば、何か変化に直面したときには感動しやすいのではないでしょうか?そこで、私でも思いつく簡単な方法として、
【旅行をしてみる】
というのがあります。代表は松尾芭蕉で日本人なら誰でも知っていると思います。要するに非日常の中に身をおいてみるわけです。
対照的な人物として小林一茶という人がいます。この人は日常の生活の中に感動を見つけ、創作活動をしていました。
前置きが長くなりましたが、《カラーひよことコーヒー豆》は小林一茶のように
【日常の中で見つけた感動を作品にする】
という希少なジャンルのエッセイだと思います。私はうつ病で、無職で、貧乏なので、非日常を味わうということがなかなかできません。強いて上げれば、1年に1~2回、映画を見に行くことが非日常でしょうか。そのため、お金持ちが鼻持ち成らない自慢話を書き散らしたエッセイが大嫌いなのですが、そんな方にも安心なエッセイです。
変化の少ない日常で感動するのは難しいことですが、小川洋子さんのように心のアンテナが受信可能になっていれば、日常の中でも感動は出来るのかも知れないと思わせるエッセイです。