山田あかね、小学館
☆☆☆
主人公の志度犬彦(20)はついてません。
大学受験に2度失敗し、メジャーデビューが決まっていたバンドはメンバー同士の喧嘩がもとで解散、高校生のときから付き合っていた彼女からは別れを告げられ、その上、元カノはバンドメンバーだった黒島城司(20)と二人で沖縄旅行に出かけたみたい。
激しい頭痛のせいで失神し、目が覚めると病院で、医師から脳腫瘍と診断され、三分の一の確率で悪性腫瘍である可能性があると告げられ、スグに手術することを勧められます。
ここまで、ついてないと普通の人間なら意気消沈して、大人しくなりそうな気もしますが、犬彦は違います。
「城司を一発、殴らなきゃ気が済まない。」
と決意し、病院を脱走するのです。
無一文でギターだけ持って病院を脱走した犬彦ですが、無一文で沖縄には行けませんから、協力者を得て南へ向かうことになります。でも、犬彦の事情を聴かずに協力してくれる人となると、相手もやっぱり訳ありです。
犬彦と訳ありな仲間が、城司の足跡を追跡して、沖縄→石垣島→波照間島へと旅を続けます。その過程で、沖縄の人々と触れ合い、沖縄の歴史を学び、城司が沖縄にやって来た目的も明らかになっていきます。
はたして、犬彦は城司に会えるのでしょうか?訳ありの仲間との関係はどうなるのでしょう?
読み進めるほどに、ラストが気になるお話でした。